[7年前のとある日、少女が殺害された。
■■が切り落とされ、■されたままの状態で打ち捨てられていた。
男は脅しを受けていた。娘と自身を秤にかけられ……しかし人質を取られている確証すらない段階で捨てられるほど、自身の命も軽くなかった。
───アリシアが目覚めたのは白い寝台の上だった。
父が命がけで自身を救ったと説明されたが、場の雰囲気から、父に対する何らかの報復に巻き込まれたのだとわかる程度には彼女は聡かった。]
うん、わかったわ。それで……パパは?
[死んだ、とその場にいた壮年の男性が告げた。
悲しくて今にも泣きだそうと思うと、しかし涙が出ないことに気付く。]
……あれ?
『呆然として、いったい……ああ、そういうことか。
不思議だろうけど聞いてくれ。アリス、君はね』