ー 夏休み・補講と自習 ー
[受験科目の補講を受けた後、飯島は図書室へと向かう。
夏休みの間、図書室は届け出を出せば自習室として活用することができた。
補講や補習に来る生徒の予習復習のため、受験生の勉強場所を確保するためでもあるだろう。
飯島は夏休みに入ってから、ほぼ毎日のように図書室へと通った。
知り合いがそこにいたから、というわけではない。
静かで、人も疎らな空間。静寂に耳を澄ます。
近所の図書館にも、コミュニティセンターにも、音が溢れているように感じて。
飯島は席に着く、参考書を開いた。
午後は委員会の活動届を出している。
ノートにペンを走らせた。
紙を引っ掻く静かな音が、静寂に谺して、その一部となっていった。]*