― 秋・文化祭/美術部展示前 ―[色やテーマはもちろん、形も様々な作品が並ぶ。結月は表現の海を泳いでいた。後輩部員>>64と顔を合わせた時は穏やかに笑って見せたが、作品をひとつひとつ眺める顔は真剣そのものだ。] ……。[油彩やアクリルを見上げるのに顎を上げて、テーブルに乗る立体物をなぞる時は視線を伏せる。流れるような動きが止まったのは、宣伝用のチラシと片づけ忘れたメモを見つけた瞬間だ。>>65結月は何も言わない。高く結ばれた髪が肩から零れて、少女の表情を隠す。]