「お師匠様、もう少し静かな趣味をされてはどうでしょうか。」しかし、書物は読み尽くしてしまったしな…。「お手紙などはいかがでしょう。」[弟子はすかさず手紙の一式を差し出してくる。暫くは大人しくしておけという事だろうか。男がその気になれば、弟子の一人や二人、存在を消してしまえるのだが、そうしないのは何だかんだとこの生活が気に入っているからだった。]手紙、なぁ。[ふむ、と男は窓の方へ視線をやった。まだ室内に煙が残っているものの、その先には雲霧と幾つもの山が広がっていた。*]