──忙しいね。
[小休憩を挟みながら、最近妙にお客が多いからねえ、と笑う女将。
確かに利益が出るのは良い事なのだろう。しかしアリシアには気になることがあった。]
最近のお客様、なんかピリピリしてる気がするの。
きっと何か起こると思う。
『アタシは感じなかったけど、いつものカンってやつかい?
アリスのカンは当たるんだよねえ』
そうなの、通りを離れる時は気を付けなきゃだめよ!
[鉄の匂い、資金の余裕、目的地と滞在期間。
明らかにこの街に何かを集めていて、さらに近年の情勢を鑑みると、アリシアはそれが武器に類する物だと簡単に想像できた。
何かが起こる……たとえそれがわかっても、伝えようとしても、子どもの姿ではまるで説得力がない。
こんな時は幼いままの姿が恨めしい、と歯噛みする。]