回想:看守になる前
[バレンスは、ごく普通の一般的な家庭に生まれた。
優しく時に厳しく諭す母と、のんびりとしていても周囲から信頼されている父の元で育った。
4人姉妹の2番目として、家族仲良く暮らしていた。
反抗期はあれど、家族仲は良好。周囲からも評判の良い家族であった。
自身の出自に不満を持ったことはない。たくさんの愛情と充分な教育を受けてきた。
バレンスは善良な市民であった。
警官になり、家族を、町を、国を、ここに住む善き人々を守りたいと考えるようになったのは、自然なことであった。
警察学校を卒業したあと、配属先で次々と成果を上げていった。
バレンスが善き人々を守るたび、ボスの顔色は悪くなっていった。
ボスのボスの……ここで一番上のボスは、バレンスのことが気に入らないようであった。いつか、己の罪を暴かれるのでないかと恐れていた。
そしてついにバレンスは、一番上のボスを罰したのだ。]