[「3-C」も「3-B」も過ぎて、画面に「3-A」という札が映る。
人の波を抜けきった小さな身体が教室に飛び込んだ。
ぷはぁ、と息を吐く音が聞こえる。
一泳ぎでもしてきたような結月はクラスメイトに笑いかける。]
まだ早い? うん、知ってる。
……あのさー。ちょーっとだけ交代待ってくれない?
ちょーーーっとだけ。その分後ろ頑張るし、何か奢るからさ!
[クラスメイトに頼み込む動きはどこかコミカルだ。
顔の前で手を合わせ、身体を左右に揺らして、
上目遣いで様子を伺っている。(これは身長差のせいだけど)
懇願に負けたのかクラスメイトが了承すると、
結月はふざけた様子で相手を拝み倒した。
お土産を頼まれれば、一も二もなく頷く。]