― 作戦前 ―
[この物資難の世界で性格に物質を分析できる道具はない。
あったとしても王城に徴収でもされていることだろう。
そうなればあとは目と耳と、鼻と。それから舌で培った経験しかないわけだ。
だから金属を噛むことは何もおかしくはない>>18
おかしくはないのだ。
経年劣化や錆などを踏まえても、
目よりかは味の方がよほど信頼できる。]
まあ、確証はないがな。
ある程度は経験則だ。
よし。じゃあ砥ぎ終わるまで待っていろ。
[己の工房は地下にある。生じる噴煙は風呂の排気口に通じさせている上に見回りの少ない夜あたりに大体作っていたので
今の所噂になることはなかったが。――もうそろそろ作戦が実行されるのだ。昼に行っても良いだろう。
煙の出所を聞かれたら、王城に納める砥石の精製とでも言えば兵士らも納得しようさ。]