―12月―
[>>2:69ケンの事情を少年はどれだけ知っていただろうか。
生まれ故郷を出るという事は大きな変化だ。
それが海を隔てた外国であれば猶更。
出会った頃には普通に日本語で話していたから、彼がどのような過程を踏んでこの句の習慣や言語を取得してきたのかは想像してみるしかない。
少年だったら耐えられただろうか?
いつも自信のない自分に比べて、彼は揺らがない芯を持った人だと思っていた。
人をストレートに褒められるところ。
自分にないところを持つ級友に青年は憧れを持っていた。
出会ってから、一年足らず。
タイプが違うのに仲良くなれた、少年に自信を与えてくれた友人。]
……え……。
[年が明けたら、国に戻る。
そう告げられた時、少年は暫し呆けた。
大学は無理かもしれないが、卒業までは一緒なのではないかと、勝手に思っていた。]