(あの時も、別に二人きりになったからって
何かされた訳じゃなかったし……)
[「2人の方が安心する」。あの日の記憶からいえば、それは紛れもなく事実だった――あの時のルミも自分と同じく、この場で当たり障りのない言葉を選んだだけだったのかもしれないけれども。
だから医務棟で必要な手当てを受けた後も、ハリコの独房前までの帰り道の「エスコート」をルミに求めていた>>0:377。
これについては、この時に既に漠然と思い描いていたカバーストーリー>>0:315に説得力を持たせる為でもあったのだけれど。
その“作り話”が看守の間で「ふーん」どころでない揶揄いのネタにされる>>0:379ことまでは、当時のハリコは考え……てはいた、筈だ。ルミ本人にまでその話が伝播する可能性も。
だからこそ、あの時からこれまで自分からルミに敢えて会いに行くのは(口説いたなどと宣っておきながら)気まずさからやや躊躇われたのだが……。]