― 晩春/下駄箱付近 ―
[顔を上げた彼女>>57は、確かめるように自分の頬へ触れた。
痛みがあったのだろうか。固まった指が赤くなった箇所を覆う。
自然な動きだった。思い切ってやって欲しいと告げた
Nix>>0:196のを思えば、実際に痛みがあるのかもしれない。
だからと言って今更心配を表情に乗せる訳にもいかず、
結月は虚を突かれたような顔をした。]
それは……まぁ。
あぁ、うん。友だちにも喋ったりしないので。
[既に幾人かは様子を見ていたようだが、>>0:225
結月はわざわざそれに言及したりはしない。
ちらりとそちらを見ると、何人かはそっとその場を離れたか。
しかしそれでも生徒たちが完全に消えることはない。
今はまだ距離がある。
故に囁き声が竹村に降り注ぐのは、
彼女が一人で歩き出してからになるのだろう。]