……そっ、か。そうなんだ。
寂しくなるな……。
[文化祭を経て、少し前向きになった海藤はそっと俯く。
彼には彼の事情があると理解できても、戸惑いを隠せなかった。
今生の別れであるとは限らないが、年を越えるまで、もう一か月を過ぎている。
どうしようと考えた。
見送りに行ってもいい?だとか、メールをしてもいいだとか。
そう言った言葉が幾つも浮かんでは消えて。]
……あ、あの、
日本を発つ前にさ、海に行かない?
あ、いや、海じゃなくてもいいんだけど……。
[自分でも突飛な事を言っていると分かっている。
別れる前に何か思い出を作れたら嬉しいと思った。
──この海には理髪店はないけれど。*]