[徐々に薄れる血の足跡を辿った先で、機械の嗅覚は、血臭に交じり漂う紫煙を感知する。
遠目に捉えた暢気な足取りは、ある一点ではたと止まり。
血を絞られたジャケットを纏う巨躯の広い背中を此方に向けたまま、「王」は自ら「客人」>>76へと声を掛けてきた。]
ええ。ご機嫌麗しゅう、「朝の王」。
今はただ此処に一人の、けれども数多の民に恵まれる王よ。
[今目に映る彼の姿が、彼が持つ武装の全てを表しているとは限らない>>54。
そう思考した上で、いまは一人きりの王に、オクリビは努めて穏やかに挨拶を紡いだ。]
今日私がここに参ったのは、王へのご挨拶と――