[未だ届かぬ声から少し離れ、彼女は水道まで進んだ。特にできることはないのだけれど、声をかけた手前、このまま去るということもできずに結月は後に続く。彼女は物言わぬ花ではないのだ。自ら水を得ることができる。小さな背中がハンカチを濡らす姿を見つめていた。] ……割と、そこそこ。[頬にハンカチを当てた彼女>>58が振り返ると、大真面目な顔で尋ねた。結月は目を瞬かせる。ハンカチを開いてくれるなら覗いて、そうでないなら記憶を頼りに正直に答えた。]