[──陽がじきに落ちるその時、彼の背からもたらされる希望のような光と、そして紡がれた名前に大きく目を見開いた。>>52
今まで、自分がフィアであると信じて疑っていなかった。
だからフィアが欠けて、私が欠けて。足りないものが何かも分からないまま、恐怖から逃げて、今まで走ってきた。
でも、今。私の中で、ぴたりとラビィと言う名前が嵌った。
欠けたフィアという器に、かけがえのない義父から送られた名前が、染み込んで、包み込んでいく。]
……ラビィ。
ラビィ、ラビィ……!
私は、ラビィ……なのよ……!
[まるで、産まれて初めて贈り物を受け取った子供のように、嬉しそうにその名前を繰り返す。
その時にも瞳から涙が零れ落ちたが、それはアレッキーノから見ても嬉し涙に見えただろう。もしも許されるなら、彼の胸元に顔を埋めて喜びも表現する。]