― 帰還 ―
[我らが不可逆の公爵の声を聞いたのは本部の外。
帰路の途中であったか誰かと対峙して居た時かは曖昧だが、銃を下げ耳を傾ける。
我らが庭を荒らすモノ、嵐を持ち込んだモノ。そのようなモノらに好き勝手されるのは、自分も我慢ならない。
『大切なものは、他者の手で壊すべき』
ああそうだ、そうだとも。
けれども良い様に操られた上、潰しあいをさせられるなんて!そんな物は楽しくない!
自分の血とも、他者の血ともつかない真っ赤な物を被って、男は本部の扉をくぐる。
「BloodSun」相手に一人立ちまわり、身体のあちこちに派手な穴を開け足を引きずり帰ってきた自分を見て、他の者はどんな反応をしていたか。
すぐに部屋に通され服をはぎ取られ、麻酔もソコソコなまま弾丸摘出及び縫合。ついでに雑な応急手当へ対するお叱りを受けた。
義手もボロボロ、脚部には過度な負担。
医療班に叱られる事は分かって居たが、技術班にも叱られるのは納得がいかない。
そんな訳で、包帯も麻酔も足りない医療現場を通り抜け適当な服を着せられ、わたしは我らが公爵に謁見する。]