[あの当時、ルミが冤罪の身だったのか、本当に罪を犯したのか、罪を犯したとしてどんな事情があったのか――そんなことをハリコは深く考えず、ただ「同じ女性の囚人」とだけ捉えて接していたのだったが]
(「悪い子」でも好きって
言ってくれたのって、そういうこと?)
[贈収賄と無差別殺人とでは罪の重さも印象もかなり異なる訳だが、それは置いて。
あんな“まとも”ならぬ小悪党の提案にも不快さを示さず笑ってくれたのは、この収監所の苛烈過ぎる環境あってのこと。だからこそ受け入れられた“悪い子”だったのか――それとも。
……ひとりで考えていても何も答えは得られない。
それこそ、一人で抱え込んでも、どうしようもない。]