回想:商業集落 大通り
[ ある日、オレは商業集落の大通りを見て歩いていた。
この集落を押さえたのはオレの代になってからだ。
先王は城と城下町の整備で手一杯だったし、
負傷がきっかけの病気で命を落としてしまった。
ここは近郊の交通の要衝。
城からは少し距離があるが、だからこそ、
ここをオレたちの国が押さえた意味は大きかった。
オレに服従を誓った住人たちは、みんなオレの愛し子だ。
この廃墟を、いつかもう少し豊かにできるといいが。
制圧当時はついでに名付けようかとも思ったが、
その頃にはもうすっかり『商業集落』で定着してしまっていて、
結局名付けなかったのは秘密だ。 ]