――→大部屋――
[次に出会ったのは煙草の匂いを漂わせる男性だった。>>60
揺れる具合でばっちり顔を見てしまった。
途端に小さく息を飲んで慌てて俯く。
火傷の痕のせいというよりは不機嫌そうな表情のせいだったが、誤解されかねないかもしれない。
彼も先ほどの男性と同じく部屋に入っていく。
自分の周りには女性が多かった気がするから、幾つか男女の組み合わせができあがりそうだ。
同性同士にしてくれたらいいのに、と心中で。
あの世か夢か、ちゃんと異世界かまだ信じられないが、職場の人数比は偏るものなのかもしれない。
それか、誰かの思惑でもあったりするのか。
なんて知らず聖子と名乗った彼女>>62と似た思考に行き着きながら、再び大部屋に戻されるのだ。
ぽいっと放り込まれるような形で。]
ご迷惑おかけしました。
[ベアトリクス、という名だったはずの異世界で唯一見かけている女性に頭を下げて。
足早に戻った先は、先ほどよりずっと距離近く、聖子と詩羽のそばだったことだろう。
あと桐木虹介とさきほど名乗っていた彼は男性だが、この世界の人たちよりよほど安心感があった。]