[これ、担がれてる? で、運ばれて――……。
しっかり理解する前にどこかに下ろされていた。>>83
目の前がくらくらするし、浮遊感が収まらなくて、掴んだ毛を離せないまま引っ張り座りかけたりもして。
無事並んで腰掛けたなら揺れる頭がようやく回復する。
ピギーは予告が足りないことが多い。
思い知りながらも今抗議の言葉は出てこなかった。
目の前に広がる景色に意識が向いたからだ。
広々とした視界、川の向こうにはここまで見てきた街ではない畑の緑も豊かな土地に見慣れない水車。
空の青色との対比が鮮やかで、目がしぱしぱとする。
牧歌的ながらもどこか眩しい光景だった。]
……広いねぇ。
[思わずしみじみと呟く。
柔らかい風が通り過ぎ、ふわふわ毛と髪先を遊ばせていった。]