―混沌のなかで―
「お久しぶりです、お嬢さん」
[そう声をかけてきた女性には、見覚えがあった。
生前祖母に会いに来ていた人物だ。おそらく、ヘルハウンドの生き残りの一人。]
「アリアの人間と、仲良くしているようですね」
してないよ。
[フィジシャンはおともだちだが、フットマンは違う。アリシアは店員と客の関係だし、それ以外のアリアの人間はよく知らない。(ページボーイのことはデュークと一緒にいるコという認識だ)
女性は表情を変えずに続ける。]
「私はこれまで、ロザリーの意志を尊重してきました。
ですが、あなたには知る権利があります。
あなたが望むならば、教える用意があります」