え、……[そうだ、お前の担当だ、と嘘を嘯く看守は続けるーー顔が焼け爛れても下半身はまだ使えるんだろう、と。 看守からのその言葉に、真っ先にハリコの脳裏にぶり返したのは、2年程前のあの火災の記憶。 ーー焼けた瓦礫が右眼を潰した時、傍にいたのはーー 身が竦んだ女囚を前に、男の看守は鉄格子の鍵穴に鍵を差し込みながら、ここで語るのが憚られる文言を下卑た笑いと共に囁く。 ハリコの思考は身体と同じく凍りついていて、拒絶どころか、意味のない声ひとつすら上げること叶わずにいたのだがーー]