[ところでハリコには、看守の一人の怪死>>0:355の噂を聞き拾う機会もどこかであった訳だが――。
事件の手口などは特に語られなかった>>0:357>>36ため、ハリコの頭の中でこの事件とあのルミ・ビリヴァーが結びつくことはなく。
勿論、実際の下手人が誰か>>0:247>>0:248なんて真相に辿り着くこともなかった。
ただ、その犠牲者の名が、かつてハリコにも外道をはたらいた者と同じだと知って。
溜飲の下がる思いと、大して重くはない“先を越された”の念と――“誰か”の死にそういう風に感じるようになっていた己自身を省みていた。そんないつかの日のこと。*]