カウントダウン前夜
[どこかの房の誰かにとっては運命の日
>>#1>>#2>>1の前夜だったその日もまた、ハリコにとってはだいたいいつもの収監の日常であった。
否、ひとつだけ非日常があったとすれば――いつもとは少し違う内容での“本職”の出番があった、ということだ。
この日のハリコの刑務は、耐久性テストと称してひたすら冷蔵庫を開け閉めする作業。比較的左目への負担が少なく済む作業だった(拷問に転用できる程に単調だったが)。
刑務終了後にハリコは看守にささやかな額の紙幣を握らせ、「特別に」縫製作業用の個室とリネン室の使用許可を得ていた。勿論、その看守の監督下の上ではあったが。
(この程度の頼みなら、必要なカネは本当にささやかで済んだ)
こうした形での「規律違反な」縫製室利用は、この時に始まった話ではない。
ハリコが普段から着ている深緑基調のワンピースとケープ――囚人用のスーツの上に纏われた衣服の継ぎ接ぎは、自由時間を利用してハリコ自ら縫製室で繕ったものだ。
なお継ぎ接ぎをするほどに服が傷んだ原因は、言うまでもなく、これまでの看守たちによる数々の暴力行為である。ちなみに例の恐怖の人形工房>>0:324の際に服が破けたこともあった。アポアポ人形はこわいぞ! キミがプロ級の超改造造形師スキル>>0:325でも持っていない限りは!!]