[この心優しい男の子がもし知り合いについて更に聞いてきたら、自分のせいで楽しい雰囲気が消えるかもしれないという懸念もあり話を逸らした。
まあ、全て少年の杞憂の可能性も充分にあったのだが。
つまり風船の本質も理解していない少年が別の意図から触れた話題だったが、マウスは得意げに興味深い話をしてくれた。>>67]
ええっ!?そうなの?すごい!
わ……マウスくん本当に飛んでる
[予想外の内容に少年は目を見張り、まるで見知った友達のように自然に妖精と関わるマウスを、妖精が齎した変化をその翠色で見ていた。
ゴンドラで大人達と共に翻弄されていた彼と異なり、まるでこの人ではない者達と既知の友人のようにすら見える。
意識が全てそちらに向いた為に空になっていたペットボトル─会話の途中に少しずつ飲んでいた─を思わず落とし、慌てて立ち上がり拾い上げる。
そして顔を上げると、さながらファンタジーの主人公のようになった相手の風船を持っていない方の手がこちらに向いていることに気づいた。]