― 六月/体育祭 ―[立ち尽くす少女>>0:405を気に掛けるような者はいない。周りの視線のほとんどは現在の走者に向けられている。全速力で駆けた身体は酸素を欲していた。肩は上下し、開いた口は何度も呼吸を繰り返す。映像に乗る息の音が穏やかになってきた頃、耳に飛び込んできたのは――鮮烈な誰かの声>>67だった。] 頑張れ、ね。[最終走者がゴールしたようで、周囲は悲喜こもごもだ。結月の傍にも同じクラスの生徒がやって来て小さな身体を囲む。少女は笑顔で仲間を迎え入れた。]