ある春の日 桜咲く病室の窓辺から
[厳しい冬を乗り越え春の陽気に桜の咲く頃。
一人の男の子がこの世に生を受けた。
父親の男、犬飼は大学時代からの恋人の妻
>>0:168を男の赤ん坊ごと抱き締めながら窓の外を見つめていた。
ああ、綺麗な桜だ。
茶々丸にも見せてやりたかった桜……。
>>0:43 昔の飼い犬に思いを馳せていると妻から声をかけられる。
『アナタ、この子に名前を付けてあげて』
そう言われ、犬飼は妊娠中に考えた色々な名前を考える。
春生まれだろうから『春斗』?
ツバサ様に似るように『翔』?
かつて名を馳せた宇宙飛行士の名を取って『銀治』?
いや、愛に溢れた子になるように愛の字を入れるとか…]