[子どもたちのお礼に、お菓子なんてどうだろう。
年若い可愛らしい職人さんが織りなす様々な飴の巧緻なアートを一人ずつ……とすると聊か懐が寒くなってしまうけれども。
口の中をころんと撫でる小さな飴玉の甘さに、子どもたちの口元もふにゃりと溶けていくだろう。
この村に初めて来たときにくれた「勇気のでる飴」の味は緊張を解し 新しい生活を送る背中を後押ししてもらった特別な味だ。>>10
村に馴染んで、その勇気≠フ指し示すものが違っていたことを知り、頬が熱くなったりもしたが、それでもその温かな味を求めて、時折顔を出してしまう。
最近出来た、菓子屋の焼餅もいいかもしれない。
村の人達が協力して少しずつ出来上がっていく異国風の様相に、楽しみだと子どもたちと話していた日々。
焼餅の中に入っている餡のしっとりと、されど深く優しい甘みは紅茶とともに穏やかな時間を過ごすのにとても良く。
地味だと商品を称する店主の彼に、彼の作るお菓子で子どもたちの喜ぶ姿を伝えることができるいい機会なのかもしれない。>>27
なんて、思案に耽っていたら。]