うん、うん、マウスくんかっこいいよ
僕も飛んでみたい……!
[その通りだと、興奮で頬を染めて返す。>>68
服を切り替えた要領で一生懸命念じ、役目を果たしたペットボトルを虚空に返すと、大きさのそう変わらないだろう手と手が重なる。
子供は目の前の楽しいことに弱い。特に、随分長い間空すら見上げられてなかったこの少年は。
写真家との別れ際のやり取りを思い出せば、自分が唐突に駆け出したせいで合流については何も話してなかったと思い至る筈なのだが──少なくともそれはまだ先になりそうだ。]
でもちょっと怖いかも、これ……
手、ぎゅっとしててね、落とさないでね……!
[持ち上げられるように少年の足も浮き、二人が星空へと飛び立っていく最中、早々にほんの少し情けない声を上げてお願い事をする。
ゴンドラから見上げた時には得られなかった浮遊感と遠のいていく地上に、やや怯んでしまった。
それでもどこか楽しげなまま。本気で恐がっているわけではない。*]