[千木良ケイン中学三年生。
大人びた風貌と上背で、年齢より上に見られることが多い彼は。
水戸泰誠同様子役上がりだが、
彼ほど人気を博したわけではない。
また、役者としての己の需要が限定的であると理解してからは
モデル業をメインとしていた。
今回のオーディションは事務所から受けさせられたもので、
役が決まるまで原作も読んでいない。
熱意の不足は見て取れただろうから、
選ばれた時には正直なところ、喜びよりも驚きが勝った。
それでも、
与えられた役――ケン・ドリックとはまた別の角度で
内心を面に乗せない千木良は、瞬時に喜びの顔を作り、
周囲の『 おめでとう 』に笑顔で応えた。**]