[さて、いくら相手が“正直者”とはいえ率直な返答が来ると確信していた訳では無かったが、「すまんな」>>2:193からの言葉で暗に答えはYesだと知れる。
この時オクリビが試みていたのは、本当に何気ない本人確認程度だったのだが――]
―――“ある”のですね? 本当は。
[遺体についての“無かったこと”の語に、小さく合成音を漏らす。それからすぐに(生理的な咳も出ないのに)咳払いの仕草をして]
……大変失礼いたしました。
貴方の側にも事情がおありでしょう。
当時、我々を頼れなかったことについて、
オーネスト、貴方が詫びる必要はありませんよ。
[仮に本当に――それこそオーネストの手の届くところに――遺体が“ある”のだとしても、リリオ・カサ・ブランカを辞めた今の自分には、葬送に関して何をする権限もない。
ここで口にした「当時」の語で、望むならば今からでもリリオを頼っていい、と暗に伝わるかは定かでなかったが――。
「フアナ」だったオクリビの側からはひとまずこの程度に留め、女は「鳥」と共に、今度こそこの場を後にしたのだった。*]