お気に入り……は、何処も素敵で決められないくらい。
並べられている品の質もよく、何より皆さんお人柄がよくて……。
強いて言うのなら、……空。空でしょうか。
[昼は澄み渡る真青な空。夜は数多に色付く星の数々。故郷で見た空と同じものであるはずなのに、より鮮やかな色味と移ろいゆく中で見せる顔にふと立ち止まって見てしまう。なんて、談笑を交わしては視線は資料を辿っていき、これが求めていたものだと分かれば、ほうと息づく。]
本当にありがとうございます、シルヴァンさん。
この御恩は、必ず。
[後日、校長伝いで一本の羽根ペンが届けられるだろう。聞いた話によると、研究所に属されているとか。何かと書くものが多いだろう、と勝手に想起してお渡しした一品。彼にとって有用なものだといいのだが。
日を追うごとに村の中でぱたりと会う中で、互いのことを知っていく。>>0:434彼の言葉に甘えて本を読みに彼の屋敷に子どもたちと一緒に訪れたこともあったか。つくづく周囲に助けられてばかりだ。彼の幼馴染の話をもし聞くことができたのなら、目を輝かせながら聞いていただろう。曖昧にぼかされたそれが、気立ての良い可愛らしい彼女だとは気づかないままに。
だが、ただ一点。此処から遥かに遠い自身の故郷、都会の話だけは、口を噤み 曖昧に微笑むことしかできなかった。*]