監獄、笑顔で
[その抱擁は、時間にして数秒にも満たないものだった。
>>67 首元に優しく伸びそうだった手は、終ぞ首に届く事はなく。
なんでもない、姉が妹に対して行うようなハグに、私もそっと抱き締め返した。
もしも、私に姉がいたのなら……なんてとりとめもない事を考えながら、離れていく温度を少しだけ惜しんだ。]
[にこりと笑顔を浮かべたルミは、すっかり元通りとなって、本当にこれでお別れなのだという事を認識する事になる。
>>68 ならば紡がれた言葉には、表情には私も笑顔を返そう。]
私の方こそなのよ、ルミ。
ルミと出会えて、同室になれて、良かったのよ。
[あなたに肯定されて、形はどうあれ壊れそうだった心は、なんとか持ってくれたから。
あなたが幸せを願ってくれるように、私もあなたの愛の証として、居続けよう。*]