せ、船頭さん。
──イノリくんは見かけましたか?
[こちらを生暖かく見守っていた船頭さんは(一体何を想像していたというのか)、僕の言葉に目を小さく見開けば、首を横に振って否定の意を示す。
……ううむ、ローズさんの事で集中していたとはいえ、イノリくんの安否を失念していたのは大人としてどうなんだい僕。
未だ妖精からの連絡は途絶えたまま。
……もしや完全に飽きたか、あ奴ら。
今度会ったらとっちめてやると思いつつ、実際は此方の為に行動を尽くしてくれているのだが、それを僕が知るのは後の話。>>59 >>60
ローズさんが隣にいれば、少し寄り道が増えてしまうかも知れない事に謝罪しつつ、イノリくんを探す為の時間や、別エリアに足を運ぶ時間を経て治療ノートがある場所へと向かっただろう。** ]