[人の世界を後にした男が、この街に居を構えてから。 さて、何年が経っただろうか。 最早数える気も起こらない。 歳を経るごとに、自宅前を飾る秋の意匠は、 より繊細で複雑なものになっていく。 杖の一振り、呪文一つで済ませられることに 敢えて手をかけるのは、戯れともいえる。 悠久の時をいかに過ごすかは 人ならざる者の自由と特権であるからして。*]