—前日:フローラ—
あ。……こんにちは、フローラさん。
[また明日、と。約束を交わしたその後だったからか、きっと口元が緩んだままだったかもしれない。彼女の声に、そちらへと向いては小さく会釈をし、続く言葉に首を縦に振る。>>50]
ありがとうございます。
宜しければおひとつ頂けたら、嬉しいです。
伝統……というのはもしかして、あの。
髪飾りと、胸の飾りのお話でしょうか。
[恋人同士の二人の風習だと、巷で語られるそれは首飾りの伝統と同様に子どもたちの中でも話されるもので。————「今年の飾りをどうするか迷っていてね。」と、つい先日語っていた校長を思い出しながらも、縁がないと思っていたそれにぽっと熱くなる頬を手で隠すも、それが衣裳のことだと分かれば ほうと息づく。]