ああ、担いで逃げれるっていったろ
というか窓からしょっちゅういってたんだからこれぐらいできるさ
[それは真っ直ぐ走るだけではなく壁や屋根を使った立体的な移動という意味もあったのをイヨリは知っただろうし、この十日ほども窓から訪れていたのもこういう感じだったのだろうと想像がつくだろう。
昼寝場所に困らないというのは、確かにな。という。]
上ってのは人が意識しない場所であることが多いからな。静かに登ってしまえば案外ばれないもんさ。
[実際音をたてず移動したことで、日々の生活を営む人々はわざわざ二階の出窓の上なんて見もされず自分たちに気づきもしない。やぎあたまもイヨリの隣に座り、どうぞと渡してくれるパンを受け取って、自分も暗黒の波動に目覚めた黒鳥串をイヨリに渡す。]
早めに出たんだ慌てずゆっくり食って行こうか。
[見るだけじゃすまないかもしれないが、そこは今のところ内緒でいいだろう。と思っていつつやぎ頭は食事のときにはおおかみ頭に変わるという見慣れた光景で隣で起きるのであった。**]