夜
[トループで宿を取る、というのが自分にとってはかなりの珍事ではあったが、路上で眠る訳にもいくまい。適当な店で飯は済ませたか、トループの安宿で床に身体を横たえる。
同じトループであっても、こうして寝床がある暮らしだって送れる人は送れてきたのだろう、と頭の中で反芻するのは『どうしてこんな所に住んでたんだ』という問で。改めて、トループに生まれてきたから、じゃない。あのスラムで生まれたからなのだ、と解をより一層強くする。
選ぶことすら出来なかった暮らし、選べるとも思わなかった暮らし。街に逃げ込むよりも遠くのメトロポリスを選んだ当時のボクは、メトロポリスに何を夢見たのだろうか。
段々と微睡み、考え事は輪郭をぼやかしていく。せめて今日みる夢くらいは、友と願うまだ見ぬ"明日"であればいい
>>90、そう思った **]