─舞台裏/丹田沙也加という、類稀無き才との縁─
[行平幸大が役者を目指したのは26歳の折。
大学まで演劇部に所属していた行平であったが、卒業後は会社員という無難な道を選んだ。
棄てた夢に行平を立ち返らせたのはーーある映画のスクリーンに現れた女優であった。
丹田沙也加。
人を惹き付けずにはいられぬ演技が、輝かしく眩しく、行平の心の琴線をかき乱した。
会社勤めを続けながら演劇養成所に通い二年、行平はある芸能プロダクションへの所属を果たす。
ハーツホリック。
丹田が所属する事務所である。
>>59
こうして、後輩として彼女と対面することになった訳だがーー行平はこのエピソードを未だに誰にも話さず、胸に秘めたままである]