[ともあれ、元リリオ・カサ・ブランカ所属、今や何のタグも付けられていない機械の女は、情報を頼りに探り当てた場所で、そのひとと思しき背の低い背中を視界に捉えた。
膝丈までの黒いポンチョ姿の女は、ポンチョのフードを外して、落ち着いた声調の合成音で声をかけた。]
ご機嫌麗しゅう、「女王陛下」。
事前の連絡も無しに、陛下の元を
お訪ねする無礼をお許しください。
[この言葉通り、本来なら電信の一本でも送るべきだったかもしれないが、その電信の宛先についてまでは探れなかったため、こうしていきなり直接会うことを試みていた。]
私はフアナと申します。
昨日までは、リリオ・カサ・ブランカで
火葬技師などの職に就いておりました。
[もしかしたらその「女王」とは初対面ではなかったかもしれないが、それでもフアナはこう名乗っていた。]