― いつかの独房 ―[あの人が笑ってくれた。綺麗だと言ってくれた。>>58だからわたし、とっても嬉しい。カーテン越しの笑みが忘れられないの。そんな幸福で胸を満たしながら、わたしは寂しい独房へと移される。看守いわく、数日はここで過ごし、その間に今後の処遇を決めるとの事。] わたし、独りきりの単独室よりも、 大勢が居る共同室がいいわ[誰も居ないなんてつまらない。不満を隠すことなく口をとがらせ、鉄格子越し、男性看守の顔を見上げた。]