─舞台裏/回想での教師役、生徒役にて再びの共演─
[ーーカット、はい、休憩!
監督の声が響く。
美濃伊緒と松本志信のシーンは回想という形で描かれる。>>67
彼女は制服姿であろう、対する行平は美術教師として汚れた白衣を衣裳として纏っている。
滑らかに発せられる自然な敬語に特に違和感はない]
ーー良いですよ。久しぶりの共演で少し緊張していますがね。丹田さんが作る空気は、私にも松本にも馴染むのでーーとても。
[居心地が良い、と続けた。
だが、これだけでは言葉が足りないだろう。松本を演じる時の寝惚け顔とは異なる締まった顔つきにて]
お陰で松本が掴めて来た気がします。
[まさか、先輩である彼女が行平に負けん気を語るなどは想定外。驚きを載せた瞬きの後に表情が綻ぶ。
その後も役やシーンの解釈を遠慮なく話し合うことが出来たであろうか。向学の華が咲く場は行平にとって実りある時間であった]