ボクがご主人様に拾われるまでの記憶
[酷く寒かったことだけははっきりと覚えている。
狭い檻の中、冷たい床、偶に来る知らない人間たち。
どうやら、ボクは捨てられたらしい。
うろ覚えに聞いたボクの名前は、
「コイツ・イラナイ」だった。 寒かった、一人ぼっちだった。
だから今もボクは寒いより温かいものが大好き。
寒いは嫌だ、寒いは怖い。
でも、そんな子犬時代の記憶も薄れるほど、ボクをあの檻から救い出してくれたご主人様との日々のほうが長くて幸せで、温かくて……。
ボクもう平気だよ、ご主人様。
いっぱい愛してくれてありがとう。
「茶々丸・カワイイ」って名前をくれてありがとう。
ああ、とっても幸せな人生だった……。*]