[今までも船というものに縁がなかっただろう。 虹色の修正が必要になった時もよくあった。 けれど根無し草の身としては雨風を防げる場所 があるだけで有難いものだ。 汚してしまうのが申し訳なく定住というわけ にはいかなかったが、今では酔い止め薬や差し 入れ兼酔い対策の甘い物を仕入れて時折やって くる居候と化している。 俺が本当に海から来たのなら、 こんなものに頼らなくても その揺り籠のような体内に常に身を任せられた かもしれないのにな。]