ー ソロパート:旅館の自室へ ー
[さて、流石に身体が冷え、少し濡れてしまった以上、
着替えも必要だと思い男は自分の部屋を探しに行く。
ハートに矢が刺さったキューピットのようなマークの部屋は少し歩けばすぐに見つかり…扉を開くと、そこは、和洋折衷とクリスマスの雰囲気の残った部屋があった。
内装は、自然をイメージした和の雰囲気の壁紙と真紅のカーペット。
家具自体はソファやベッド、ルームランプなどだが、それらはすべて和のテイストを残した生地や模様を選んだ丁寧な仕上がりの柔らかなものだった。
昨今の温泉旅館は、布団ではなくベッドタイプやソファがおいてあるところも多いため、それが参考にされたのだろう。
そして、部屋の角には暖炉があり、
そのなかでくつくつとお味噌汁?のようなものを煮る
吊るされた和風の鍋の姿が見え…いわゆるおふくろの味を思い出させるような…良い香りだった。
小さく飾られたクリスマスツリーの下には、
本来みみちゃんに贈ろうと思ってきたプレゼントの箱によく似た者たちがたくさん積まれており、その一つ一つの宛名にクラットへの文字がある。
…さまざまなバイト先や出会ってきたお客さんの字で、メリークリスマスと書かれている。]