それと、
わたしの事を覚えていて下さって、
ありがとうって
[ほんの一瞬の邂逅だったというのに、夢みたい。
わたしったら、本当に幸せ者だわ。]
名前も一緒に伝えてね
絶対、絶対、お願いよ
[一時期、紙面を鮮やかに飾った自身の名前を添え>>25次に会える機会を心待ちに。
それまでに顔の腫れがきちんと引いて居ればいいのだけれどと考えながら、今しがた贈られた桃色で唇をなぞる。
鏡の無い部屋では自分の顔なんて見えやしない。
けれどあの人が選んでくれたのなら、きっと私に似合うはず。
先の看守に感想を聞けばよかったなと、ちょっぴりの後悔を浮かべて。
それからのわたしは、贈り物が誰にも捕られないよう、肌身離さず持ち歩く事にした。**]