── 朝、食堂へ>>81 ──
[空想に浸るのも腹が減る。
実際に飢餓を憂うのは頭の方だが、それでも腹が空くから人体とは不思議なものだ。
それに宇宙には先人達が大手を振って文化を押し付け合うこともない。
朝は珈琲か、それとも紅茶か、ただそれだけのことで言い合いにならないだけここはかなり平和だろう。
歴史を守る者は尊い、しかし歴史を振りかざす者は毒でしかないのだ。
そんなことを考えているうちに朝は珈琲に決めた。
毎朝のこの一杯が人生を豊かにするのだから私にとっては大事なことだ。
だが今日はどういうことか、甘い良い匂いが既に食堂を満たしている。
元々キッチンに用事があったのとは関係なしに、興味を惹かれてついキッチンを覗いてしまう。]