[彼の滞在しているリージョンは、男も聞き知っている場所だった。もっとも、訪ねる予定の友人の方が詳しいだろうが。彼のシップがかの地で手を加えられているという事は、何やらトラブルに遭ったのだろうと推察する。リージョン間の航行は、決して安全が保障されているものではない。事情を話せと求める心算はないが、彼がゲッカに訪れる際にトーチバードの姿は見せて貰うとしようか。すべての手紙を読み終える頃、先の手紙の余韻は胸に残っているものの、男の心は凪ぎを取り戻していた。]