—前日:自宅—
[一枚、一枚。花の首飾りをくれた子どもたちへ贈るメッセージカードに想いの丈を書いていった。学校はアッシャーの祝祭が終わった次の日から、また何時も通り始まっていく。少し時間があるから、と半分ほどの人数を書いたところで手を止め。
花飾りに使われた勿忘草の空の蒼さを想起される色味と、紺色のロングワンピース。
明日着ていく衣裳たちを広げながら、視線が行くのは裾に控えめに縫った草花の刺繍だった。草の上で小さな白い花をぽつぽつと咲かせるその刺繍に、ふと思い起こされるのは昼間のこと。
「祭りの時、少しでいいんで時間取ってもらえないですか?」
きっと今も首飾りを懸命に作っているであろう、彼は。
星をモチーフにしたのだろうか、どのような形なのだろう。
誰にどのようなメッセージを、其処に込めるのだろうか。]