………あ、[濃紺の空に浮かび上がる、白い月。 ふと、頭に出てきたアイデアに小さく頷いて 刺繍道具を用意していく。あんなに思案していたのだから、渡したい相手がいるのかもしれない。いや、きっと。 その方に失礼のないように、と裾の草花を照らすようにちょっと上にそしてささやかに縫っていった。 出来たものを見せてもらうことができる、それだけでも幸せだと噛み締めるように。]